マンスリーマンションで新生活
適正価格=〈期待できる年間家賃収入)÷(期待収益率)である。
知人のケースの場合、期待収益率は基準とされる六%に設定。
家賃収入は同程度の賃貸マンションの近隣相場が管理費別で月額九万程度なので、年間では九八万円と計算した。
これを割ると一八〇〇万円という価格がでる。
諸経費を考慮すれば、一七五〇万円という売値は、「ま、こんなもんでしょう」という妥当な価格というわけだ。
ちなみに外資系が日本の不動産に投資する場合は、期待収益率をだいたい七%に設定する。
これで計算すると、一五四二万円になる。
外資系から見れば、知人のマンションの売値は、適正価格に比べて二〇〇万円以上も割高になる。
それを知人に話すと、こういって苦笑した。
「あれでも少しはトクをしたわけか……」自分がいま住んでいるマンションなり一戸建てがいくらで売れるかの概算を知りたいときは、この計算で試算してみるといい。
だが、あくまでも賃貸に出したと仮定するときは、自分が貸したい価格でなく、自分ならいくらの家賃を出して借りるかで計算すること、そうでないと希望的価格になりがちだからだ。
また、地元の不動産屋で賃貸の相場を聞くことも大切だ。
それも一軒ではなく二~三軒聞いてみることだ。
先に挙げた知人の例が象徴するように中古マンションはいま、ほとんど暴落状態だ。
売れないから値を下げるの悪循環で、売買の件数は年々減少し、価格も年間一割程度の下落が続いている。
原因ははっきりしている。
九三年以降、新築マンションが大量に供給されるようになったからだ。
特に九四年からの四年間、首都圏では約八万戸、大阪圏では約四万戸が毎年分譲された。
いずれも適正需要はその半分程度だから四年間で八年分のマンションを売ったことになる。
バブル時代の地価暴騰で、買いたくても買えなかった「たまり需要」があったのは事実だが、それにしてもバブル最盛期でも年間の分譲戸数は首都圏で五万七〇〇〇戸、大阪圏で二万七〇〇〇戸だったのだから、いかにすさまじい供給ラッシュが起こったかわかろうというものだ。
しかも大量供給されたこれらのマンションは、その七、八割方が三一〇〇〇万~四〇〇〇万円のニ次取得者向けの物件だった。
一次取得者は本来、中古マンションの大きな需要層だが、「中古にちょっと上乗せしたくらいの値段で設備の充実したピカピカの新築物件が買えるなら何もわざわざ中古を買うことはない」というわけで、それまでマイホームの取得を諦めていた低所得層(たまり需要の主力)や「まだ早い」と思っていた若年層の需要がドッと新築マンションへ流れ込んだ。
その結果、中古市場は大暴落、新築市場も需要の先食いで、すっかり買い手が細ってしまった。
売れなきゃ債を下げるのは世の常で、「これなら買えるでしょう」と、最近では中小の業者だけでなく、大手も率先して新築物件を値下げ販売している。
なかには一度売り出したものの売れ行きが芳しくないマンションを、人幅に値下げし、物件の名称も変更したうえで、再発売するケースさえある。
それでも約一万戸という在庫の山を抱えて悲鳴を上げているのが、いまのマンション業界の実情だ(業界の公表している在庫数はアテにならない)。
旅行や現金プレゼントなど、あの手この手のサービス合戦は、厳しい業界事情の裏返しで、販売不振のためマンション事業から撤退する企業も相次いでいる。
新築がこれでは、中古が値を下げるのも無理はない。
東京カンテイの調べによれば、中古マンションの相場は、東京、大阪圏ともにバブルのピーク時に比べて坪当たりで約三分の二一戸当たりでは約四割の水準まで下落している。
バブルの最高値で買った人は、売れば半値以トになるわけで、これでは大半の人はローン残高にも満たない。
そして、また年に一割ずつ下がり続けているというのだから、目もあてられない。
まさに売るに売れない状態で、この点については口本債券信用銀行総合研究所のデータがさらに詳しく状況を伝えている。
首都圏のマンションを対象に購入した年ごとの含み損益の状況を試算したもので、これを見ると、不動産市況の悪化によって自宅の売却見込額がさらに低下したため、バブル期に購入した世帯の住宅含み損が.段と増加し、年々深刻な状況になっているのがわかる。
たとえば、一世帯当たりの評価損は、九六年時点では一八九四万円だったが、九七年時点では一九七一万円に増加し、一世帯当たりの担保割れ額も四六〇万円(九六年時点)から四七六万円(九七年時点)へと膨らんでいる。
ローンを返しているのに担保割れ額が前の年より大きくなっているのは、残債以上にマンションの時価が値下がりしている証拠だ。
これだけ含み損、担保割れの重荷があったのでは、よほど資力のある人でないと、買い換えには動けない。
そのことが魅力的な中古マンションの供給を阻害し、一層、中古市場の縮小、相場低落の一閃となっている。
住宅市場にはいま、史上最低水準の公庫金利と大型の住宅減税で人工的な追い風が吹いているが、手厚い住宅減税が終わる二年先には消費税の五%引きしげ後に見られたのと同じような駆け込み需要の(反動減)に襲われる可能性が強い。
そのとき低所得層や若年層の需要を繋ぎ止めようと新築マンションの価格を下げれば、中古マンションはもう一段価格を下げざるを得ない。
あるいは仮にこの先、市場環境がよくなればなったで、再び新規供給が進むのは目に見えている。
供給過剰懸念がつきまとう環境では、相場のF方庄力から逃れるのは難しい。
マンションの底値はまだ見えず、売るに売れない状況がこれからも続くだろう。
マンション業者は商売だから、新しく土地を手当てして、またそこへマンションを建てて売らなければ会社は成り立たない。
供給過剰になろうが、不況が続こうがつくったものは売らざるを得ないのである。
最近は既存の中古物件より、駅に近くて広くて価格的にも手頃な新築物件が増えている。
現在の中古マンションは同程度の新築マンションに比べて三割ほど安いが、購入希望者の関心はもっぱら新築に向かっている。
都心に近い好立地の物件なら中古の割安感が訴求力を持つが、そうでないと消費者の目を向けさせるのは至難のワザだ。
駅までバスを使うような立地不良の中古マンションは、近い将来、一〇〇〇万円でも売れない日がやってくるだろう。
「売るに売れないなら貸せばいいじゃないか」。
そういう意見もあるだろう。
しかし賃貸市場というのは、実は新築の分譲マンション以上に主な理由としては、①バブル時代を通じて相続税対策などで大量の賃貸物件が供給された②市街化区域内農地の課税強化で都市農民によって大量の賃貸物件が供給された③九三年以来の第六次マンションブームで低価格の一次取得者向けマンションが大量に供給され、低中所得層の(脱賃等の動きが急速に進んだなどがあげられる。
要するに賃貸物件が大量に供給され、ただでさえ供給過剰なところへ、安い分譲マンションがどんどん投入されて賃貸暮らしにオサラバする人が急増しているものだから、余計に賃貸物件がダブつく結果になっているのだ。
いまや賃貸市場は(超過剰状態)で、完全に借り手市場になっている。
契約率は三割台で、家賃もひと頃に比べてずいぶん下がっている。
それでも借り手がつかないので、値引き交渉に応じたり、敷金や礼金を減らしたり、管理費を減額したり、ペットやピアノの相談に乗ったりしている。
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